2024年3月18日に開催された「Apex Legends」の国際大会 Apex Legends Global Series (ALGS)の北米決勝戦にて、外部からハッキングがなされて参加選手にチートが付与されるという事件が起きました。大会は延期となり、ネット上では波紋を呼びました。
事件の概要
トッププロであるGenburten選手は「ウォールハック」と呼ばれる、壁越しに敵の位置が見えるチートが、ImperialHal選手は弾がホーミングするチートが付与されてしまいました。
結果、両選手はともに通常通りプレイすることができないと判断し、大会の決勝戦自体が延期する形となりました。
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— DZ_Genburten (@Genburten) March 18, 2024
外部からチート付与されたときのGenburten選手
Apexは数年前よりチート問題が残り続けており、「Apex運営のチート対策が甘い」という意見はプレイヤーから散見されていました。ランクマッチでチートプレイヤーに遭遇することは珍しいことではない状況でした。
そんななか起きた今回の事件。ゲームのセキュリティも危ぶまれる出来事です。今後のチート対策への転機となるでしょうか。
チートの現状
オンラインが一般的なeスポーツでは、チート行為は最も忌避されている存在であると言えます。
チートを使うとどんな初心者でも一瞬にしてランクを上げることができます。ゲームの練度を競うeスポーツとして最も公平性に欠けるものです。チートが判明するとほかのプレイヤーから通報されたり、アカウントのBANや凍結がなされたりする可能性があります
一方で、実力を上げることなく手軽にランクを上げるためにチートを導入するプレイヤーも少なくありません。
問題のチートの導入ですが、実は非常に簡単です。インターネットで「(ゲーム名) チート」などで検索すると、そのゲームのチートが検索結果にゴロゴロ出てきます。
チート販売業者から簡単に買うことができますが、チートを導入するとアカウントのBANや永久凍結など措置がされる場合があります。
チート問題はと同様に問題視されている「アカウント販売」とも密接にかかわっています。高ランクのアカウントが売られていることがありますが、チートを使ってランクを上げている可能性がおおいにあるため、アカウントを購入することは控えましょう。
各ゲームの対策
Apexというゲームは長年チート問題と密接にありました。現在でも国内外問わずプレイ人口が多いゲームですが、その規模感にも関わらず、運営のチートへの対処は詰めが甘く、今でも多くのチーターがオンラインでプレイしています。今回の事件を経て、Apex運営がチート対策やセキュリティ強化に本格的に動き出すことが期待されています。
国内で圧倒的人気を誇るVALORANTは最初期からチートを徹底的に排除してきました。LoLで既に世界的に有名なeスポーツとして成功したRiot社は、VALORANTをリリース初期からFPSの新しいeスポーツとして確立させるように取り組んでいました。
現在のVALORANT人気はRiot社のチート撲滅の努力のたまものでもあると言えます。
格闘ゲームであるストリートファイターでもチート問題があります。今や格ゲーもオンラインが主戦場で、チートと向き合わなければなりませんが、運営のチート対策は十分とは言えません。
格闘ゲームのチートは対戦中に気付きにくいものが多いため、チーターが通報されにくいという現状があります。しかし、オンライン大会で優勝した人がのちにチートを使用していたことが発覚して優勝取り消しになったという事件もあります。
eスポーツ業界とチート問題
チート問題はeスポーツという業界全体にとっても根深い問題です。
あるチートを対策してもまた新しいチートが生まれてしまう、イタチごっこ状態です。
さらに、チートを放置することはゲームを遊ぶプレイヤーの人口を減らすことに繋がります。チートの心配が限りなく0に近くならなければ、「対戦相手がもしかしたらチーターかもしれない」と考えながらプレイすることとなるため、そうなれば健全なプレイ体験は得られず、ゲーム自体を続けるモチベーションに関わります。
インターネットが広く普及して、オンライン環境が整った現代であっても未だに世界最高峰の大会はオフラインで行うことが多くあります。その理由の一つはこのようなチート問題にあると考えられるでしょう。
オンライン大会ではチートを導入することが比較的容易で、それを判別することが難しいため、オンライン大会の権威性が失われることになります。チートはそれほど競技性と興行力を損なうものであるという認識を業界全体で共有しなければなりません。
今後は各ゲーム会社がチートを徹底的に排除する取り組みを強化していく必要があるでしょう。
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