前編ではストレスを感じたときの一般的な対処法を考えました。後編では、ストレスの原因をより深く探ってみます。
前回のおさらい
前回の記事はこちら
①ゲームでイライラしたときはまず怒っていることを自覚することが大切です。
突発的な怒りに身を任せていては正しく判断することもゲームが上達することもできません。まずは怒っていることを自覚して怒りを鎮めることに集中しましょう。
②目の前の勝敗よりも自分の成長を重視してみましょう。
目の前の勝敗を重視しすぎることは精神的にしんどいものです。レートや勝率はすぐに上がったりしませんし、昨日よりレートが下がったからといって昨日より下手になったわけではありません。
ゲームの勝ち負けは運・噛み合い・味方などの様々な要因で決まります。目の前の一勝よりも長期的な自分の成長を楽しむほうがラクです。
③怒っている自分を受け入れることも大事です。
ゲームでイライラする人のなかには自己嫌悪に陥る人が多くいます。ゲームに怒る自分を未熟だと考えてしまいがちですが、怒ることはゲームに真剣になっている証拠だと自分を褒めてあげましょう。
イラつくことによる様々な弊害と解決策
適度なストレスは張りのある人生に必要なものだと言われています。
一方で、過度なストレスは様々な弊害を生みます。
趣味でゲームをプレイして、イラついて実生活に支障をきたしてしまうことのないようにしたいところです。
ゲームで過度なストレスをためることによって起きる実害には1.睡眠障害と2.破壊衝動があります。それぞれ紹介します。
睡眠障害
睡眠障害がはゲームによって引き起こされる一般的な障害です。
怒ると交感神経が優位になり、興奮状態になります。
寝る前に対戦ゲームをすると興奮状態になって寝つきが悪くなる可能性があり、また、急激なストレスによって睡眠の質が低下するという懸念もあります。
簡単な対策は、ゲームを寝る前にやらないことです。多くの人は学校や仕事が終わってから寝るまでの間のどこかでゲームをすると思いますが、寝る直前のゲームは極力控えましょう。
対戦ゲームは入浴前に行うのがオススメです。対戦ゲームで興奮した状態のまま就寝するのは難しいので入浴や身支度を通して興奮状態を抑えましょう。
睡眠前に目を酷使するのもよくありません。近年の対戦ゲームはかなり目や脳に負担をかけるので注意が必要です。
タオルを濡らして電子レンジで温めたものを目に当てるなどして対策するといいでしょう。
より高い効果を期待するなら市販のアイマスクを使用するのも効果的です。
破壊衝動
また、破壊衝動を抑えられない人も少なくありません。普段どんなに温厚な人でも対戦ゲームのストレス耐性がないと突発的に物にあたってしまい、デバイスをぶっ壊してしまいます。
コントローラーをぶん投げて壊してしまう人は少なくありません。日常生活では決して物に当たらない人でも、ゲームは瞬間的に強いストレスに曝されることがあり、それでコントローラーを投げて壊してしまうことがあります。
ランクマを続けていると強いストレスを感じる瞬間がいくつかあります。そのような瞬間的なストレスが蓄積されていくと、あるところで臨界点を迎えて物を壊してしまいます。
普段は感情的にならない人のほうが物にあたる傾向が高いように思えます。
普段の生活で怒りにくい人は、瞬間的な強いストレス (ゲームではよく起こる) に対して耐性がないためだと思われます。
物を壊してしまうようなストレスの臨界点を把握して、限界を超える前にゲームを終われるようになると良いです。
いきなりできるようにはならないので、まずは自分にストレスが蓄積されていっていることを感じるように意識してみましょう。(それもなかなか難しいことですが、例えば「繊細な操作や激しい操作、難しい操作をする気が起きなかったら」ストレスが溜まってきている合図です)
怒っている原因と対策を考える
人はなぜゲームをしているときに強いストレスを感じるのでしょうか。
それは、人間は予測していなかったことに対する耐性が極めて低いからです。
日常生活では予測していなかったストレス原因と遭遇する機会は多くはありません。しかし、対戦ゲームをプレイしていると、日常生活では考えられないくらいのスピードで脳や手を動かして、日常生活では考えられないくらいの密度で状況が変化します。そのよう環境なので予測していなかったアクシデントが起こるのも無理はありません。そして、私たち人間は予測していなかったアクシデントにはとても弱いのです。
予測していなかった (心の準備ができていなかった) アクシデントに対して強いストレスを感じるのであれば、そのようなアクシデントが起きることを予測しておくことでストレスは大幅に軽減されます。
もっとも、対人ゲームをしていてストレスが溜まる瞬間は人それぞれ。イラつく主な原因は次の通りです。
- 思い通りに操作できない
- 理不尽なキャラ性能・武器性能
- 味方ガチャ
- 運負け・噛み合い
- 相手のめちゃくちゃな行動
ひとつひとつ見ていきます。
理由1: 思い通りに操作できない
体感的には「思い通りに操作できない」ことでストレスを感じるプレイヤーが多いと感じます。
「思い通りに動いていれば勝っていた」という経験がある人は多いでしょう。
このような感情は実生活で体験しにくいというのもストレスが強まる一因です。
現実世界では、自分の体が思った通りに動かなくて負ける、という経験はめったにしないので、私たちはこのような経験に対しての耐性がありません。そのため、過剰にストレスをためてしまうのです。
対戦ゲームにおいてキャラが思い通りに操作できない原因はいくつかあります。
オンラインの遅延、デバイスの不調、自分のコンディションの不調、操作精度…などなど。
特にゲームの展開が早いほど操作ミスが多くなります。
昨今のゲームは状況が目まぐるしく変化し、それこそ0.1秒単位の判断や操作が要求されます。そのようなゲームには①判断能力と②操作能力の二つが重要であることを理解しましょう。
FPSや格闘ゲームでは特に立ち回りや状況判断が重要視される傾向にあり、ついつい操作精度の重要性が忘れられてしまいがちです。しかし、早いゲームスピードの中で正しく判断しできても、それを正しく画面に反映させなければ意味がありません。
最初は誰もが操作の練習から入りますが、上達するにつれてそのウエイトは下がっていきます。しかし、判断力と操作力はどちらも同じくらい重要です。格闘ゲームでもFPSでもひいてはパズルゲームでも操作精度は最後まで実力を反映する重要な要素だという事実を忘れないようにしたいですね。
このような意識を忘れなければ、操作ミスで負けたことは判断ミスで負けたことと同じようなテンションで受け止められるかと思います。
理由2:理不尽なキャラ性能・武器性能
eスポーツがほかのスポーツと大きく違うのはキャラや武器の性能差があるというところです。そこがゲームの面白いところでもある一方で、最も理不尽を感じる部分です。
武器やキャラの性能差があるのはゲームに深みを与えますが、性能の差があまりに大きすぎるとゲームを辞める理由になり得ます。
プレイヤーの努力ではどうしようもない性能差への対処ですが、はっきり言えば”受け入れる”しかありません。
近年はゲームにアップデートやバランス調整が来ることが珍しくなく、あまりにも激しい性能差は運営によって調整されることが多いです。
努力で埋められないキャラ性能の差に怒ってしまう場合、トッププロがどのように対処しているのか調べたり、自分のキャラを変えたりするのが現実的です。
「eスポーツはキャラや武器に性能差があるので不公平だ」と言われることがありますが、キャラや武器は誰もが平等に使うことができるので、この論調は誤りだと言えます。
※一部のゲームは課金することで強力なキャラや武器を使用できる、所謂「pay to win」のものがありますが、公平性の観点からそのようなゲームはeスポーツとして受け入れられないことが多い
もちろん「好きなキャラを使って勝ちたい」「弱いキャラで勝ちたい」と人それぞれ楽しみ方があります。ですが、もしもプレイ中にキャラ性能でストレスを抱えてしまう場合は、キャラを変えたり、一旦そのゲームを辞めるのがいいでしょう。
味方ガチャ
味方のトロールや捨てゲーはストレスをためる原因のひとつです。
意図的な利敵行為やただ場を荒らすだけの人、足を引っ張りたいだけの人、煽りまくる人など、様々な人がいます。そのような人は敵にしても面倒ですが、味方にくるともっと面倒です。
VC (ボイスチャット)で暴言を吐いてくる人もいます。
そのような人と遭遇したとき、こちらにできる行為は主に2つです。
- 無視して切り替える
- ゲームを辞める
基本的には相手にしないのがいいでしょう。
荒らしプレイヤー、地雷プレイヤーとやりとりすると煽り合いや喧嘩に発展するケースがあり、精神的にメリットはありません。
やり返したい気持ちを切り替えてそのようなプレイヤーが少なくなる高ランク帯に上がれるように意識を向ける方が生産的です。
無視して通報したりブロックしたりするのがもっとも簡単な解決策です。
また、そのようなプレイヤーがあまりにも多いようなゲームであったり、高ランク帯でも荒らしやチートだらけのゲームもあります。
そのような状態にどうしても耐えられないのであれば、そのゲームを辞めるのが簡単です。
チート対策は運営の仕事ですし、荒らしや地雷が多いゲームはそのような民度なので自分一人の力ではどうすることもできません。コミュニティの民度や雰囲気、プレイヤー層に自分が合っていなかったと割り切ることもときには大切です。
“ゲーム自体は好きだけど、そのゲームを遊んでいる層が苦手”という人は案外少なくありません。
相手のめちゃくちゃな行動
対戦ゲームでは相手のめちゃくちゃな行動にイラつくことがあります。
しかし、一見相手の行動に怒っているように見えても実は「相手の行動に対応できなかった自分に怒っている」というケースが多いです。
「相手のめちゃくちゃな行動」というのは、リスクリターンが見合っていない行動なので、冷静に対処できれば「こちらにリターンがあるおいしい行動」ということになります。
純粋に相手のミスである場合はそれを対処できるように練習しようという意識をもってみましょう。
また、合理的な行動は長い目で見れば最善の行動ですが、それ故に想定されやすく、対処されやすい行動です。一方で、非合理な行動は最善ではないが故に今この瞬間だけは有効な行動である場合があります。
このような考え方を持っていれば、相手のめちゃくちゃな行動にストレスをためにくくなるかもしれません。
自分が合理的な行動に縛られていると、このようなストレスを抱えるだけでなく、自分自身のプレイの幅も狭めてしまうかもしれません。
運負け
ゲームは初心者でも楽しめるように不確定要素を含んでいるものがあります。
不確定要素(運要素)によって初心者でも格上に勝つ経験を得られ、ゲームを楽しいと思えるのです。運や噛み合いで勝ったとき、そのゲームの沼に浸かり始めます。例えば、麻雀は運の要素がかなり強いゲームですが、技術介入度もかなり高く、実力差が大きいと格下側はトータルで勝つことは難しくなっています。
当然、長い目で見れば実力が高い方が成績は良くなります。しかし、もっと短いスパンで見れば格下が格上に勝つことはザラにあります。数試合、数ゲーム程度のスパンで見ると、紛れが多く、格下に負け越すことは珍しくないことです。
今目の前の運・噛み合いに一喜一憂せず、長い目で考えることが大切です。
まとめ
対戦ゲームをしていればほとんどすべての人がストレスを感じます。
特に、対戦相手や味方の顔が見えないオンライン対戦では顕著です。
しかし、強いストレスは睡眠障害や健康被害を引き起こします。ゲーム中に感じる瞬間的な強いストレスには人間は耐性がないので、突発的に物にあたってしまう人もいます。
そのような実害を被らないようにストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
十分な睡眠や生活習慣が大切ですが、ストレスへの正しい認識やゲームとの付き合い方を身に着けることも同様に重要です。
自分が何に怒っているのかをきちんと把握して楽しいゲームライフを送れるように祈っています。
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