最近YouTubeなどでも大会の様子を配信しているゲームイベントも増えてきました。ゲーム大会の観戦は私たちにとって身近になりつつあります。ここで、初めてゲーム大会を観戦するにあたって気になることのひとつに「どうやって一番を決めているんだろう？」というものがあるでしょう。
1日や2日で終わるような短期的なゲーム大会は一般的なトーナメントや総当たりではない場合が多いです。今回はeスポーツ系のゲーム大会でよく採用されている大会形式について解説します。
大会形式は大会の日程や参加者数によって適切なものが適用されています。参加者数が少なかったり、長期間行われるような大会には総当たりが適しています。前の試合結果をもとに対戦相手を決定していく「スイスドロー形式」は中規模のボードゲームやカードゲームの大会でよく使用されます。
一日から数日ほどの短い時間で大規模な大会を行うとき、総当たりでは時間がかかりすぎてしまうし、トーナメント式では実力を反映させることが難しくなります。そこで採用される方式が「ダブルエリミネーション・トーナメント」です。
一般的なスポーツ大会ではあまり見かけることはありませんが、eスポーツの大会ではかなり普及している方式ですので、ぜひ理解して観戦をより楽しんでください。
ダブルエリミネーションとは？
ダブルエリミネーション式トーナメントとは、簡単に言えば「1回だけ負けてもいいトーナメント」です。一般的にトーナメントというと、１回負けたら即終了の勝ち上がり形式のことを連想しますが、それは「シングルエリミネーション式トーナメント」です。”エリミネーション(elimination)”は「除去」のことで、つまりシングルエリミネーションは１回敗北で敗退、ダブルエリミネーションは２回敗北でトーナメントから敗退となります。
ダブルエリミネーション式はシングルに比べて時間がかかりますが、運や調子による紛れを少なくすることができます。例えば、「上から３番目に強いチームが、予選で一番強いチームとあたって敗退」という事例は一般的なトーナメントでもよくあることだと思います(これを避けるために”シード”という概念が存在します)。このように、上位にいける実力があったチームが予選敗退となってしまうというのは「トナメ運が悪かった」と言われます。ダブルエリミネーション方式はこのトナメ運による順位のブレを多少改善することができます。フィジカルスポーツと比較してもゲームの試合は一試合にかかる時間が短く、体力の消耗も少ないため、一日に複数回試合することが可能です。そのため、試合数が多くなってもより実力を反映しやすいこの方式が採用されることがあります。
ダブルエリミネーション式トーナメントはトーナメントが「勝者側」と「敗者側」に分けられます。最初(1回戦)は、参加者全員が勝者側トーナメントにいます。勝者側トーナメントで敗北すると敗者側トーナメントに行き、敗者側トーナメントで敗北すると敗退となります。
トーナメントの詳しい解説
ここからはダブルエリミネーション式トーナメントのちょっと細かいお話になります。興味のある方は読んでみてください。
下のトーナメントがダブルエリミネーショントーナメントの形です。簡単のため、参加者が４人のケースを見てみましょう。参加者はラウンド１(1回戦)で勝者側で試合を行います。
上の例ではマッチ１でプレイヤー１とプレイヤー２が対戦し、勝者はラウンド２へと進みます。一方、敗者はルーザーズラウンド１に落ちます(敗者側トーナメント)。ルーザーズラウンド１は勝者側の試合で負けた者同士で戦い、勝てばルーザーズラウンド２に進みます。
例えば、１回戦でプレイヤー１とプレイヤー３が勝利した場合、ウィナーズラウンド２ではプレイヤー１とプレイヤー３が戦い、ルーザーズラウンド１ではプレイヤー２とプレイヤー４が戦います。さらに、ウィナーズラウンド２でプレイヤー１が勝った場合、プレイヤー３はルーザーズラウンド２に落ち、ルーザーズラウンド１の勝者と戦います。
勝者側決勝で勝ったプレイヤーは「勝者側優勝」となりますが、まだ完全に優勝が確定したわけではありません。勝者側決勝で敗北したプレイヤーはルーザーズに落ち、敗者側トーナメントの勝者と試合を行います(敗者側決勝)。
敗者側決勝の勝者と勝者側優勝者がグランドファイナルで優勝をかけて戦います。もし、そこで勝者側優勝者が敗北した場合、その人も敗者側に落ちて、もう一度試合を行います。これをリセットと言います。つまり、敗者側の人はグランドファイナルで２回勝たないと優勝できないということです。
因みに、ダブルエリミネーションは順位の下振れを抑える(トナメ運が悪い、運要素による敗北など)役割よりも上振れを抑える役割を強く果たします。シングルトーナメントでは格下の人が格上に勝った場合、その一試合で順位を大きく上げますが、ダブルエリミネーションではそこまで順位の上昇がないからです。
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