【eスポーツの公平性】eスポーツは競技としての公平性が高いのか?

オリンピックやワールドカップで世界中が盛り上がる度に、スポーツの公平性について議論が起こります。スポーツとその競技の平等性は切っても切り離せません。

そんななか、実はeスポーツは競技としての公平性が高いという説があります。

最近はeスポーツ業界の中で「有名人・有名プロのチート問題」や「レートが変わらないバグ」などなど、競技としての公平性がなにかと話題になっています。

では、なぜそのようにeスポーツは公平だと言われているのでしょう。
今回はeスポーツが公平と言われる理由と本当にそうなのかについて解説します。

 

なぜ公平だと言われるのか?

eスポーツが公平だと言われる要素は2つあります。

 

審判の不在

ひとつは審判がいないことです。

実際のスポーツでは審判がいるのが普通ですが、それが公平性を損なう最大の原因でもあります。

2024年のパリオリンピックでも記憶に新しいように、審判が完全に公平な判定をすることは稀です。
技術が進化した近年ではビデオ判定やチャレンジシステムなどを導入することで誤審を減らそうという動きが進んできましたが、実際は「審判が絶対」という基本原理は変わっておらず、これらのシステムや技術は誤審への対処としては十分に機能しているとは言えません。

スポーツの審判の不平等の例は挙げれば枚挙に暇がありません。
(韓国のサッカーワールドカップ、ボクシングの奈良判定などなど……)

特にボクシングや柔道などの対人格闘技は審判への依存度が極めて高く、いかに審判にアピールするかも重要な要素だと言われます。

 

※ここで剣道についての面白い画像を紹介します。

ウィキペディアより引用

この表は剣道の国体の歴代優勝者の県です。wiki中の記述にもありますが、開催県に対して明らかに有利な判定であることが分かります。
(特に2005,2007,2010,2017,2019,2022年は開催県の選手が全部門で優勝しています)

ここまであからさまでなくとも、審判ありきのフィジカルスポーツは審判が原因となって公平性が大きく欠けるケースが珍しくありません。

 

一方、完全にゲーム側でシステマチックに判定するeスポーツには審判が必要ありません

わざわざ不安定な人間の目で判断しなくとも、機械が一切の情もなく判定します。
そこには国際情勢や開催国の贔屓はもちろん、誤審(誤判定)も限りなく0に近いです。

審判が必要ないという事実は、競技としての公平性を担保します。

 

キャラクターの性能差と選択の自由

審判が必要ないことで競技としてとても平等なものでありながら、eスポーツは遊びの幅を出すために性能の異なるキャラや武器が実装されており、性能の異なるこれらの強さはバランスが取れているとは言えない場合が多くあります。

競技シーンでよく見る強いキャラと全然見ない弱いキャラがいます。一見するとこれは不平等であるように思えます。

しかし、様々なキャラクターの中からプレイヤーは好きなキャラクターを選ぶことができるという点では極めて平等です

見た目で選んでも強さで選んでも好きな性能で選んでもいいのです。

プロレベルになるとプレイヤースキルには大きな差がないので弱いキャラで強いキャラに勝つことはとても難しくなります。プロゲーマーは勝つことが前提なので、強さを基準にキャラを選びます。その結果、競技シーンで見るキャラクターに偏りが生まれることは自然なことと言えるでしょう。

ただし、あまりにも性能差が大きく、偏りが大きくなりすぎるとそれはゲームとして不健全な状態です。(公平性は失われていませんが、プレイ体験は失われる可能性があります)

 

プレイヤーは自由にキャラや武器を選択できますが、課金によって性能に差が生まれる場合は例外です。課金による性能差が大きすぎて技術で埋められない場合は競技としての公平性が失われるため、eスポーツとして認められません。(「pay to win」の禁止)

不公平な部分とは?

審判やキャラ選択の面ではeスポーツは公平な競技ですが、チートやデバイスの面ではまだまだ公平とは言えません。

特にオンライン大会やランクマッチでは不平等が顕著に表れます。

 

チートや外部ツール

オンラインではチートの使用が一見すると対戦相手には分かりません。

立ち回りや反応速度に違和感を覚えて「この人チーターかな?」と思って検証するといった手間がかかります。 (例:FPSのウォールハック、格闘ゲームの自動対空)

チートはゲームの運営から明確に違反行為として定められており、永久BANなどの厳しい処罰を受けます。実際のスポーツで言うところのドーピングに近いでしょう。

実際のスポーツで大きな大会ではドーピング検査があるように、ゲームもオフライン大会ではチート行為をすることは困難です。
ですが、相手の環境が分からないオンライン大会やランクマッチではチート行為をその場で摘発することは極めて難しいと思われます。

チート行為はeスポーツ業界の中でもデリケートな部分で、これまで数々のゲームがチートによって廃れてきた歴史があります。
そんな歴史のなかで、コミュニティではチート行為を絶対に許さないという風潮が出来ました。

技術的にチートを完全に絶滅させることは難しいのが現状です。ゲームの運営がチート行為およびチーターに対して厳しい処罰と積極的な審査を継続することが肝心です。

 

デバイス差・環境差

オンライン大会・ランクマッチでは、チートの他にも環境の差があります。
例えば、モニターやキーボードを低遅延の物にするとプレイヤースキルは上達していなくとも勝率はあがるでしょう。

同様に、コントローラーやキーボードを自分に合ったものを選ぶことで勝率が劇的に改善することがあります。
PCの性能差でもプレイ内容が変わることもあります。(PCの性能が高いと遅延が減る)

 

また、オフラインでの試合でもデバイスの問題は残ります。
最近では格ゲープロにも浸透してきたレバーレスタイプのコントローラーも登場当初は賛否両論ありました。

いまでこそレバーレスは大会でも使用でき、受け入れられています。
パッドでも近年は多くのボタンを搭載し、背面ボタンを追加できるものもあります。

アケコンは配線やボタンを自分でカスタマイズすることが可能なので、ボタンを増やした改造コンで大会に参加する人もいます。

このようなコントローラーの格差は線引きが難しく、大会によって参加できるかどうかが異なります。
また、今度を覚えさせてボタンを入力すればそのコマンドがでる機能がある「マクロコントローラー」も問題です。(昇竜拳コマンドを覚えさせればワンボタンで昇竜拳を出すこともできるようになるコントローラーです)

マクロコントローラーは多くの大会では使用禁止ですが、では、その禁止の基準をどこに設けるのかという課題が残っています。

かつて、水泳では抵抗が少なすぎるレーザーレーサーが使用禁止になる問題が起きましたが、eスポーツのデバイス論はまさにこの問題と同じです。

 

 

より公平な競技にしていくために

 

ここまでeスポーツの公平性と不公平性を見てきました。

審判が必要ないという圧倒的利点を生かして、eスポーツをより平等な競技として発展させるために必要なことはなんでしょうか。

最初に解決すべき根深い問題はチートへの対応です。

現在はコミュニティと運営にまかせきりで、明確なルールがありません。
そこで、ゲーム運営側で明確な基準と規則を設定して明文化することが必要になります。また、eスポーツがよりメジャーになれば、eスポーツの業界団体で禁じたり、法律で禁じることも視野に入れなければなりません。

罰則もより重いものにしていかなければなりません。
現在はチートの罰則はアカウントのBANや凍結ですが、別のアカウントやプラットフォームを利用すればゲーム自体は遊ぶことができます。

また、インターネットは匿名の世界なので、界隈から干されたチーターが別名義で活動することも容易です。

これらの罰則の厳罰化も重要になります。

また、デバイスによる格差もどこまで認めるのかを(運営ないし業界団体で)統一して規格化することが大切です。

これらの公平性の問題を解決することはeスポーツのさらなる発展に不可欠だと思われます。

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