eスポーツとはいったい何? 普通のスポーツとはどこが違う?

オリンピックの競技になることも決まり、ますますeスポーツという言葉をよく聞くようになってきました。しかし、まだまだ歴史の浅い言葉で、聞いたことはあっても意味は知らないという人や全く馴染みのない人もいるでしょう。

「eスポーツの”e”って何?」 「ゲームがスポーツってどういうこと?」

そんな疑問を解決するために、今回はeスポーツとは何なのか、簡単に解説していきます。

eスポーツとは?

eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ (electronic sports)」の略称で、

一般にコンピュータゲームを用いた競技のことを言います。

競技性の高い対人ゲームを競技として捉えて、技術・反射速度・判断能力などを競います。
「陸上」というくくりの中に「400m」や「砲丸投げ」という複数の種目があるように、「eスポーツ」というくくりは「eスポーツ」の中に「ストリートファイター」や「VALORANT」など複数の種目(ゲームタイトル)が存在します。

このような競技ゲームやそれに付随する配信活動などを生業とする人たちは「プロゲーマー」と呼ばれます。プロゲーマーは自身のプレイスキルで観客を魅了することで価値を生み、大会の賞金・ストリーマーとしての活動などで生計を立てています。

彼らはゲームの枠を超えてイベントやCMに起用されているケースもあります。

eスポーツとして有名なゲーム

ゲームを競技としてプレイする、というのがeスポーツですが、どんなゲームもeスポーツとして成り立つわけではありません。ゲームに競技性を見出すわけですから、一人用のRPGなどはeスポーツにはなりません。では、どのようなゲームがeスポーツとして人気なのでしょうか。2023年現在人気のeスポーツタイトルをご紹介します。

VALORANT

VALORANTは「RIOT GAMES」が2020年にリリースしたFPS(ファーストパーソンシューティングゲーム)です。5人vs5人形式の試合であるため、エイムの正確性、操作精度や反応速度だけでなく、瞬間的な判断能力やチームワークも必要になります。運営が競技として推進しているため、オンラインでの対戦環境が整っており、大規模な世界大会も開催されたり、数百万をこえる賞金の大会が開催されたりとリリースされて以来盛り上がりを続けています。また、2022年開催のVALORANT Champions Tour (VCT) ではさいたまスーパーアリーナが満員になるほどの熱狂を見せました。

基本プレイが無料なので、PCとキーボード・マウスさえあれば気軽に始められる点もプレイ人口の増大を後押ししています。運営がeスポーツに力を入れており、競技人口も極めて多いため、これからも人気は続くと予想されます。

ストリートファイター6

ストリートファイター6は2023年にCAPCOMから発売された対人格闘ゲームです。1990年代に爆発的人気を博したストリートファイター2の最新作となっており、競技ゲームとしての歴史は非常に長くなっています。今作は、これまで格闘ゲーム初心者の障害となっていたコマンド操作を不要としたモダン操作や、充実した一人用モードを実装することによって新規参入者が爆発的に増加しました。

プロモーションにも非常に力を入れており、その甲斐あって販売本数は発売1ヶ月で200万本を突破しました。優勝賞金1億円を超える大会も開催され、今後も盛り上がりは続きそうです。

League of Legend

League of Legend (LoL) は2009年に「RIOT GAMES」がリリースしたMOBA (Multiplayer Online Battle Arena)ゲームです。5対5のチーム戦で、立ち回りや戦術、状況判断力など座学の比重が大きい特徴があります。チャンピオンと呼ばれるキャラクターを操作して戦いますが、チャンピオンの数は140体を超えます。
全世界でのプレイヤー人口は1億人を超えている超有名タイトルです。発売から15年近く経過している現在でも世界大会が開かれ、盛り上がりを見せています。

LoLは上述したVALORANTと制作会社が同じであり、VAROLANTと同様に基本プレイ無料で、運営がeスポーツとしてのムーヴメントを推しています。

大乱闘スマッシュブラザーズSP

大乱闘スマッシュブラザーズ (スマブラ) は2018年に任天堂により発売されたアクション対戦ゲームです。様々なゲームの有名キャラクターを操作することができ、プレイ人口は非常に多くなっています。1対1形式の試合は競技として浸透しており、コミュニティ大会(有志が開催する非公式大会)の配信の同時接続数が10万人を超えるなど発売から5年経過しても人気は衰えていません。

しかし、スマブラは上述したほかのゲームと比べて、運営がeスポーツに消極的であり、コミュニティ内のプレイヤーたちが積極的に大会を開催しているという特徴があります。

2023年10月に任天堂が大会のガイドラインを発表しました。ガイドラインについてはこちらで解説しています。

任天堂がゲーム大会のガイドラインをついに公表
2023年10月24日、任天堂がゲーム大会における自社著作物の利用についてのガイドラインを公表しました。以前こちらの記事でも触れていましたが、これまで任天堂はeスポーツや大会に関して消極的な姿勢を見せており、明確なガイドラインがない...

eスポーツとほかのスポーツとの違い

eスポーツは「スポーツ」と名付けられていますが、どの部分がスポーツ的なのでしょうか。また、ほかのフィジカルスポーツとどこが異なっているのでしょうか。

1.体を動かさないゲームが多い

まず最初に挙げられる違いは「eスポーツは体を動かさない」ということです。基本的に身体として動かすのは指や腕、目などの細かい部分です。そのため、ゲームのルールが分からないと何がすごいのか全く分からないという事態になります。一方フィジカルスポーツでは、「細かい技術は分からないけどなんとなくすごい」という見方で観戦することが可能です。この点において、eスポーツはサッカーのようなスポーツというよりも将棋や囲碁などと似た性質であると言えます。

一方で、将棋などの試合とは異なりゲームは目まぐるしく展開が変化します。0.1秒以下の反応や判断が勝負を分けるシビアな世界です。瞬間的な判断能力、操作の正確さ、反応速度が要求される点としてはフィジカルスポーツと似た性質も持ちます。実際、FPSのプロゲーマーは若い人の割合が高くなっています。

 

2.ゲームタイトル(競技種目)がコロコロ変わる

そしてeスポーツがほかのスポーツと最も異なっている点はゲームタイトルが頻繁に変わるということです。
eスポーツの市場もスポーツ興行ですので、あるゲームタイトルがeスポーツとして成り立つかどうかはそのゲームの人気に依存します。あるゲームタイトルに関して、いくら上手な人がいてもそのゲームをプレイする人がいなかったり、ゲームの知名度が低かったりすれば、その人はプロゲーマーになることはできません。

新作のゲームが発売されれば、過去作をやる人の数は急激に減りますので、プロゲーマーは新作で勝てるように改めて努力する必要がでてくるわけです。

普通のスポーツのプロ選手は一つのスポーツを極めることが求められますが、プロゲーマーに求められる能力はゲームの基礎力ということになるでしょう。FPSプレイヤーならFPS全般に通じる基礎能力(エイム力など)が、格闘ゲームプレイヤーなら格闘ゲーム全般の基礎力(コマンド精度など)が必要になります。

 

まとめ

今回はeスポーツとは何か、スポーツとの違いは何かをまとめました。

eスポーツとはコンピューターを用いた競技的なゲームの総称であり、フィジカルスポーツと異なって、体をあまり動かしません。また、ゲームタイトルが頻繁に変わるという特徴もあります。

eスポーツもスポーツも観ている人を楽しませることは共通しています。eスポーツはこれから法整備や制度が整えられていき、ますます発展していくと考えられています。

ゲームやプロプレイヤーを理解していけばスポーツ観戦にも劣らない興奮がそこに待っています。ぜひみなさんもこの世界を覗いてみてはいかがでしょうか。

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