2024年になってeスポーツの競技シーンは大きな転換を迎えています。
特に感じるのはプロ選手の集約化が進んできているということです。
これまでいろんなチームに分散していた有名プロ選手やeスポーツ系ストリーマーが、近ごろは大きなプロチームに集約されてきています。
止まらない集約化の流れ
現在、ゲーミングチームを立ち上げることに法的な制限は一切ありません。
そのため、スポンサー企業を見つけて選手を募集することで、だれでもチームを設立することができます。
チームに所属したいプレイヤーはたくさんいるので、チームを立ち上げて選手を加入させること自体は難しくありません。しかし、所属選手に適切な給料を払いながらチームを運営し続けることは至難の業です。
スポンサー企業がゲーミングチームを支援する費用に対して、見合った宣伝効果が得られないと判断することが原因です。
ゲーミングチームの収益は所属選手の賞金や配信活動での収益のマージン、グッズの売り上げなどがありますが、スポンサーからの支援も非常に重要です。
国内の小規模なゲーミングチームは宣伝効果が弱く、スポンサー離れや運営の安定が難しくなって、有名選手の放出やチームの解散が相次いでいる状況です。
実際は、小規模チームだけでなく、海外の有名チームや、トッププロ選手を抱えているチームでさえ赤字運営であることが珍しくないのです。
また、発展途上であるeスポーツの世界では、プロチームは選手を育成するだけの体力がありません。選手が結果をだしてチームに功績すれば、チームはその選手の報酬を増やしてあげなければいけませんが、そのような体力がないチームが多く、結果が出始めた選手はより有名な大手のチームに移籍するという流れが続いています。
先日も格闘ゲームの老舗であるTOPANGAとFPSやMOBAゲームの老舗VARRELが合併して新たなチームが誕生しました。数人の選手は移籍しましたが、契約解除でフリーになった選手もいます。
2018年ごろから国内に数多くのゲーミングチームが誕生し始めましたが、2023年になってからは、それらのチームの解散や事実上の吸収合併が起きています。
有名選手やトッププロが国内最大手のチームに移籍する流れも2024年以降非常に活発で、今後もこの流れは続いていくと予想されます。
有名選手の移籍例
最近特に有名選手を獲得しているのが「REJECT」です。
元sunsister所属のスマブラトッププロの「しゅーとん」をはじめ、格ゲー5神に数えられ、現ストリーマーの「ハイタニ」など、続々と移籍しています。
Shuton @syu_tolimar 参戦‼️
明日よりGenesis Xに挑みます✊#RCWIN pic.twitter.com/1HYqiA8ydM
— REJECT (@RC_REJECT) February 16, 2024
2024年5月には、元Sengoku Gaming所属のValorantプロの「Hals」、元名古屋NTP OJA所属の格闘ゲーマーの「あきら」などを獲得し、ますます力をつけているチームです。
YOU⚡️ARE⚡️POWERLESS!!!!!@halsvlrt 🤜🤛REJECT完全移籍#RCWIN #ALLIN pic.twitter.com/OUUfZDkwLy
— REJECT (@RC_REJECT) May 8, 2024
Welcome @akiradayooooo#StreetFighter6 #REJECT pic.twitter.com/vmQeg82hov
— REJECT (@RC_REJECT) May 17, 2024
「MOTHER3」や「ときど」など有名な選手やストリーマーを数多く抱えているREJECT。直近のAPEX世界大会では日韓合同チームの「REJECT WINNITY」が見事優勝を果たすなど、業界内で急速に存在感を増してきています。
有名プレイヤーの獲得に力を入れているチームがもうひとつあります。それが国内最大手のゲーミングチーム「Crazy Racoon」(以下CR)です。
CRはAPEXなどで有名なチームですが、近年は様々なタイトルの選手を獲得したり、ゲーミング施設の運営を通して業界をけん引する存在になっています。2023年からは格闘ゲームにも力を入れています。格ゲープロの中でも人気の高い「どぐら」「かずのこ」「shuto」らが相次いで移籍し、独自大会である「CR CUP」でもストリートファイターを採用して成功を収めています。
CRはApexをはじめとして複数のジャンルのゲームで有名選手や有名ストリーマーをたくさん抱えており、自社イベントも成功を続けています。今後もいろんなジャンルから有名選手が加入していくでしょう。日本のeスポーツ業界を引っ張る巨大チームに成長しつつあります。
まとめ
eスポーツが日本で普及し始めた2018年ごろから数多くのゲーミングチームが誕生してきました。
しかし、2023年ごろから体力のないチームは解散したり合併したりという流れが続いています。
淘汰が進み、これまで小さなチームに所属していた各プロゲーマーたちが大手に移籍しはじめることで、これからのeスポーツを担うチームが選別されてきたように感じます。
ゲーミングチームのなかでもCR、REJECT、ZETA、FENNELは現在国内で大きな存在感を放っています。プロの統合の流れは今後ますます活発になると予想されます。
eスポーツが日本に上陸して6年目、ようやく大きなチームによる選手の争奪戦がはじまり、プロの様相を呈してきました。
この流れが続けば、プロゲーマーの給料はますます高くなると予想されます。そうして業界全体が大きくなっていくかもしれません。
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