プロゲーマーという職業ー年収と課題ー

2023年度の小学生がなりたい職業にもランクインしている人気職業のプロゲーマー

ゲームをしてお金を稼ぐという働き方には確かに夢があります。
海外と比べて日本のプロゲーマーの収入は低い傾向にありますが、それでも有名どころになると月収100万円以上貰っているケースがあることも事実です。

一方で、スポーツ選手のようにメジャーな職業というわけではなく、まだ課題も多い職種です。
今回はそんなプロゲーマーという職業について解説します。

将来の選択肢にプロゲーマーがある人、子供にプロゲーマーになりたいと言われた親御さん、どんな職業なのかよく知らない人はこの記事でプロゲーマーという職業がどんなものなのか少しでも知ってもらえればうれしいです。

 

プロゲーマーの仕事内容は?

プロゲーマーの主な仕事は競技シーンの出演(大会の出場など) や動画配信です。

国内のeスポーツシーンはまだまだ出場選手全員に十分な報酬が配られるほど成熟していません。そのため、プロゲーマー個人で動画配信や実況を行うことがあります。

国際戦や世界大会に出場できるような強豪チームに所属して活躍している場合は、チームからの報酬が月収100万円を超えることもあります。そのようなチームでは多くの時間を練習時間にあてますので、動画配信する時間は少なくなります。

また、有名になるとメディアへの露出も増えてきます。オフラインのイベントでゲストとして招待されたり、CMに出演したりすることで報酬をもらいます。
このような仕事は有名であることが重要ですので、プロシーンから退いたあとでも需要があります。競技シーンの第一線を退いた後にも、解説者や配信者として生計を立てている人がたくさんいます。

 

プロゲーマーの収入

プロゲーマーの収入形態は多種多様です。

収入源の一つは大会の賞金です。
有名ゲームの世界大会で結果を出した場合は賞金が数千万円を超えます。一方で、国内では数千万円規模の大会はめったにありません。プロゲーマーとして大成功を収める場合は海外大会で結果を出すことが必須になります。

個人競技のゲームであれば、賞金の大部分を獲得することができるので、大きな稼ぎになります。その代わり、個人競技の大会は賞金が獲得できる人数が少なく、トッププレイヤーでも賞金額は0という事態もあります。

チーム競技の大きな大会では出場するまでに熾烈な選考を突破する必要があるで、出場した全チームに報酬 (出演料) が支払われる場合があります。優れた成績を残すとそこからさらに報酬がもらえます。
一方で、大会運営からチームに配られる報酬なので、各選手に与えられる金額はそこからかなり目減りします。

大会の規模・運営母体によって賞金額は大きく異なります。日本国内では最高でも数百万円ほどで、国内最高額はシャドウバースの大会「RAGE」で、優勝賞金は1億円でした。
海外は数千万以上の賞金の大会がたくさん開かれており、2024年夏にサウジアラビアで開催される大会は賞金総額が90億円を超えるということで話題になりました。

サウジアラビア開催「eスポーツワールドカップ」の賞金総額が6,000万ドルを超える
2024年にサウジアラビアで開催されるeスポーツワールドカップの賞金総額が6,000万ドル (約90億円) を超えることが判明しました。 🏆 ,000,000+ 🏆 pic.twitter.com/QpAdvYhR9k — ك...

 

 

次に所属チームからの報酬です。
チームから毎月報酬が支払われますが、その額はチームによってまちまちです。国内の大手チームでも無償から数万円レベルの場合があります。

なぜ無償でもプロとして成り立つのでしょうか?
現状、国内ではプロチームを立ち上げるのに規則や特別な手続きが必要ありません。例えば、あなたが今からプロチームを結成することだって可能です。
チームに所属することはプレイヤーにとってステータスになるので、薄給であってもチームに所属することがメリットとなるのです。

※このような状態でプロゲーマーを名乗るのも賛否両論あります。プロゲーマーの定義があいまいなのは日本eスポーツ協会(JeSU) が発行するプロライセンスが上手く機能していないことが原因です。
詳しくはこちらの記事で解説しています

日本eスポーツの先駆者 : 日本eスポーツ連合(JeSU)ってどんな組織?
2018年に「eスポーツ」が流行語大賞にノミネートされたことから、2018年はeスポーツ元年と呼ばれることがあります。そんな2018年に発足したのが日本eスポーツ連合(JeSU)です。JeSUとはどのような組織なのでしょうか?国内のeス...

チームからの報酬の詳細も明らかになっていません。国内のプロ野球は契約年俸を公表していますが、eスポーツはそのような公表は一切行っておらず、どのチームとどの選手が契約するかもすべて水面下で行われます。

 

 

3つ目の収入源は実況・配信業です。プロゲーマーとして大きな大会に頻繁に出場するようになると、アマチュアのことと比べて知名度が爆発的に上昇します。そのため、実況配信や解説動画を投稿することで広告収入を得ることができます。
プロを引退した後でも配信者として活動を続ける人は多く、引退後の主な収入源でもあります。

金額は月々数万円から数百万と人によってまちまちです。プロゲーマー時代よりも引退して配信者として活動したほうが収入が多い人も稀にいます。

 

 

プロゲーマーに必要なスキル

プロゲーマーに必要なスキルはゲームの上手さだけではありません。

もちろんゲームが上手いのは重要です。しかし、それだけではプロゲーマーとして成功するのは難しいでしょう。現状はすべてのプロゲーマーがゲーム1本で食べていけるほどではないので、他のプロたちと差別化しなければならないのです。

プロゲーマーになるのはゴールではなく、そこからがスタートです

 

①トーク力

トーク力があるとプロ活動において非常に有利になります。前述したようにプロゲーマーの活動には配信業が含まれます。ゲームをプレイしながら面白い話ができれば、配信の人気がでて配信業だけでも十分な収入を得ることができます。
さらに、人気が出れば外部のイベントに呼ばれたり、所属チームの企画でキャストに抜擢されたりする可能性が高まります。

配信業で成功すれば、プロゲーマー引退後の収入に繋がります。プロ活動を通して得た人気は配信業にそのまま生かすことができるので、トーク力があれば人気が長続きするでしょう。イベントキャストや大会の解説に呼ばれる機会も増えます。

 

②感情のコントロール

感情をコントロールすることはプロゲーマーになるうえで必須の能力です。ゲームを長時間プレイすることはただでさえストレスがかかりやすい行為です。
そのうえ、プロゲーマーは生活がかかっているので、尋常でないストレスに晒されます。配信中にカッとなって暴言を吐いてしまったり、頭に血が上った状態でSNSで投稿したりすると、炎上に繋がるかもしれません。

プロチームは炎上を最も嫌います。プロを目指している人はアマチュア時代からSNS上の発言に気を付けたほうがいいでしょう。

ゲーマーには煽り文化やキレ文化がありますが、プロシーンではそのような言動は嫌厭されます。

 

③語学力

語学力は必須スキルではありませんが、とても役に立つスキルです。英語または中国語が話せると特に役立ちます。

プロゲーマーでトップレベルになると海外大会や世界高に出場する機会が多くなります。
eスポーツの市場規模も日本国内より中国・アメリカのほうがはるかに大きいのが現状です。英語や中国語が話せると、世界大会の場で役に立つだけでなく、現地の人や海外のファンにまでアプローチすることができます。

現状では稀なケースですが、海外のチームに所属する場合、英語が話せる方が有利になるかもしれません。

 

プロゲーマーになるには

ここまでプロゲーマーの仕事や収入やスキルを解説してきました。

では、肝心のプロゲーマーになるためにはどうすればいいのでしょうか?

eスポーツ専門学校やeスポーツスクールなどがあります。そのようなところはプロゲーマーになることよりもeスポーツ業界で働くことを目的としたカリキュラムが多いです。

また、日本eスポーツ連合が発行するプロライセンスを取得する必要もありません。

実際にプロゲーマーとして活躍するためには、まずなによりも大会に出まくりましょう

オフラインでもオンラインでもいいので、大会に出て実績を積みましょう。大会で結果が出せるほど実力がなくても問題ありません。大会に出ながら少しづつ上手くなっていけばいいのです。
大会に出ると知名度が上がります。さらに人脈も生まれます。

実力と知名度と人脈を手に入れられたらもうプロゲーマーになるのは秒読みと言っていいでしょう。
紹介によってチームに所属するケースが多いのが現状です。チームに所属して活動していると、より好待遇なところから引き抜かれることもあります。

大会に出て結果を出すことがプロゲーマーになるための近道です。

 

プロゲーマーが抱える課題

プロゲーマーには課題もあります。

最も深刻なのがプロゲーマーのセカンドキャリアです。

プロゲーマーは引退後のキャリアに不安が残ります。
FPS系のプロは特に引退時期が早く、25歳ほどで引退します。

若くして引退したそのようなプレイヤーはキャリアに困ることになります。
大会の解説者やチームのトレーナーになる人もいますが、引退した全員がなれるわけではありません。配信業で収入を得る人も安定した収入のために別の仕事を始める場合があります。

引退したプロゲーマーは、職歴や学歴としてアピールできる部分が少ないため就職が難しくなります。さらに残念なことに、日本国内ではプロゲーマーという職業はまだまだ浸透しているとは言えない状況で、社会を動かしているような上の年齢層のゲームへの理解は未だとても浅いままです。

ゲーミングチームであるにも関わらず、所属選手を「プロゲーマー」と呼ぶことを禁止し、「プレイヤー」と呼ぶようなチームもあるほど、日本ではゲームに悪い印象が染みついています

このようなセカンドキャリアの不安がプロゲーマーを目指すことの障壁になっています。

 

まとめ

人気が高まっているプロゲーマーという職業ですが、いまだ発展途上の職種です。

トップレベルになると数百万・数千万単位の収入を得ることができる夢の職業ですが、トップレベルになるための難易度は高く、セカンドキャリアの課題もあります。

現状はまだそんな雰囲気はありませんが……eスポーツ産業は成長産業ですので、業界自体が発展していけば近い将来、誰もが目指す職種にプロゲーマーが入っているかもしれません。世間一般に広くプロゲーマーが受け入れられる未来は来るのでしょうか。

 

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