eスポーツ興行は稼げるのかシリーズ。今回はプレイヤーについて掘り下げます。
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ここでは、ゲーム活動による収入を主収入とする人のことをプレイヤー (プロゲーマー) と定義します。
プレイヤーは儲かるのか
過去の記事でも解説してきた通り、純粋なプロ活動だけで生計を立てるのは至難の業です。

ただ、大手プロチームに所属し、世界大会にも参加するようになれば月収100万円も視野に入ります。
さらに、人気タイトルの世界大会で結果を残せば賞金だけで数千万円にもなり、やはり夢はありますね。

EWC 2025のタイトルごとの賞金額 高いものは300万ドルにも及ぶ
2025年eスポーツワールドカップ(https://esportsworldcup.com/en/competitions)の公式サイトにも画像のように高額賞金が並んでいます。
※eスポーツワールドカップはこれまでのゲーム大会の規模を大幅に更新し、初開催となった2024年度大会でも話題になりました

賞金やチームからの報酬のほかに大切な収入源が配信活動による広告収入です。youtubeやtwitchでの配信活動は月に20~30万の収入になります。
さらに、現役引退後でも収入になるため、プロ時代にたくさんのファンを獲得し、引退後も配信活動を継続していくことが大切です。
プロを引退してから、それまで練習に充てていた時間を配信や動画制作活動に費やせるようになったことで、配信後のほうが広告収入が増える選手もいるくらいです。
有名になれば月100万円の広告収入も視野に入るので、現役引退後でも生活に困らなくなります。
昼間は別の仕事をしながら配信活動をしたりチームに所属したりしている選手も多数います。
プロゲーマーが成り立つ前提
プロチームに所属する、大会で優勝する、配信活動を見てもらう。
プロゲーマーはこれらを活動の軸に、そして収入の軸にしています。
しかし、この軸には「ゲームの競技人口が多い」「ゲーム観戦が興行となっている」という2つの前提があって初めて成り立ちます。
ゲームの競技人口が多い
ゲーム人口が多いことは何よりも大切です。
いかにゲームが上手くとも、そのゲームをやっている人が世界で自分だけではプロは成り立ちません。
世界大会で勝つためには、世界大会が開かれるだけの人気がそのゲームには必要です。
プレイ動画や解説動画を見てもらうためには、その動画を見たいと思うゲーマーがいなければなりません。
eスポーツには対戦相手が必要です。人口のすくないゲームは対戦相手を見つけることも難しいのでどんどん廃れていってしまうのです。
ゲーム観戦が興行となっている
ゲーム観戦が興行として成り立っていることも重要な要素です。
ゲーム自体の競技性はもちろん、コミュニティの性質やゲーム会社にも左右されます。
ゲーム会社自体が世界大会やイベントを行っている「LoL」や「ストリートファイター」はプロゲーマーとして非常に活動しやすい領域です。
一方で、「スマブラ」のような任天堂産ゲームでは任天堂が競技者向けの大会を開催しないため、参加者数千人規模のものでもすべてコミュニティ大会となっています。
大会の規約も非常に厳しく、プロとして活動するのがかなり難しい領域です。

ゲームの競技性、プロ活動のしやすさ、そしてゲーム人口の多さ(=ゲームの面白さ) はすべてゲーム制作会社の影響が強い要素です。プロゲーマーの生殺与奪はゲーム会社に握られていると言っても過言ではありません。
収入の三本柱
先述したようにプロゲーマーの収入は大会賞金・チームの報酬・広告収入の3つの柱で成り立っています。
最も安定しているのが所属チームからの報酬で、契約期間中の収入は約束されます。月額の定額+成果報酬とするチームが多いようです。
大会賞金は額がかなり大きい代わりに安定性はありません。
配信活動による広告収入は地味ながら大切な収入源です。
配信で生計が建てられるようになれば現役引退後も生活に困りにくくなるどころか、成功すれば配信者として引退後のほうが収入が上がる可能性があります。
元プロが引退後にストリーマーとなって、現役のころの数倍以上の収入がある例は少なくありません。
このように広告収入は重要ですが、プロゲーマーの実力以上に配信やトークの面白さが成功の秘訣です。また、コミュニケーション力が高ければイベントに呼ばれたりコラボができたりしてさらに収益を伸ばせます。
これがゲームが強いだけではプロゲーマーにはなれないと言われる理由です。
ストリーマーとしてのプレイヤー
上述のようにプロゲーマーのストリーマー的側面は安定収入とセカンドキャリアという重要な視点です。
では、プロゲーマーはストリーマーとしては稼げているのでしょうか?
答えはNoです。
元Tロゲーマーにも超有名配信者はいますが、配信者・YouTuber全体で見ると、決して儲かりやすいジャンルではないことが分かります。
YouTubeのスパチャランキングではVTuberが独占している状態だし、動画の再生数ではもっと一般受けするようなジャンル(旅行など)にはなかなか勝てません。
ストリーマーとして活動を始めるのをきっかけに配信ジャンルをもっと広げるといった工夫が大切です。
競技者時代にはやっていなかったような流行っているゲームをするのはかなり受けがいいようです。
プロ選手としてのプロゲーマー プロスポーツ選手と比べると?
今度は他のプロスポーツ選手とプロゲーマーを比較してみましょう。
とはいえ、プロ選手の年俸は種目や業界に限らず、ばらつきがとても大きく、平均値で語るのが困難なので、トップレベルの選手の年俸で比べてみましょう。
日本のプロゲーマーの最高年収は1億円~2億円程度です。
eスポーツは大会数が少なく、大会ごとの賞金の差が大きいので、どの大会で結果を出すかが重要になってきます。(シャドウバースの大規模大会であるRAGEやストリートファイターのカプコンカップは賞金が1億円を超えます)
eスポーツがより発展している海外では最高年収が推定10億円とも言われています。
プロスポーツ選手の中でもトップのクリスティアーノ・ロナウド(サッカー)は推定年俸が340億、大谷翔平(野球)の推定年俸が100億円程度です。
日本のスポーツ興行で最も成功している種目であるプロ野球選手は、平均年俸が4900万円(2025年時点)と言われています。
世界のトップアスリートと比べると年収の額は小さいですが、トッププロゲーマーの収入は思ったよりも多いという印象を受けます。
ゲームジャンルごとの特徴
ゲームタイトルでも生涯収入は変わります。
格闘ゲームやレースゲームはプロ寿命が長い傾向にあります。40歳ごろまで前線で戦えるので引退までに稼ぐ金額も多くなります。
一方でFPSはプロ寿命がとても短いです。反射神経が非常に重要になるゲームで、中には20代前半には引退する人もいます。
10代前半からプロとして活躍する機会がありますが、その分引退も早いジャンルです。
一般にはアクション性の高いゲームほど若手が有利だと言われます。
フィジカルスポーツのように体力による差がない分、子供でも大人と戦うことができますが、反射神経の影響が他のスポーツ以上に強いのがアクションゲームやFPSです。
まとめ
プロを引退すると、解説者やコーチや配信者として活動する人が多いですが、中にはそのまま所属チームの裏方で働く人もいます。
大手プロチームであれば、裏方であっても仕事はたくさんあり、すぐにつぶれる心配もなさそうです。
プロゲーマーの収入についてまとめてみました。儲かる職業だと思ったでしょうか?
収入についてはあくまで一般論で、人によって差がとても大きいので、参考程度にしかなりません。
プロゲーマーのいいところには収入よりもSNS上で多くの人にフォローされたり賞賛されるといった側面もあります。
収入だけ考えてプロゲーマーになる人は殆どいません。「ゲームが楽しい」「いろんな人に認められたい」そのような思いを叶えてくれる職業でもあるのです。
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